香港も終に・・・

ここ一週間香港関係ニュースが報道されてますが、勤め人をしていた頃(40年前)から香港へは頻繁に往来してましたし、2011年から6年間香港に滞在しました。おぼろげな記憶で香港の今を振り返ってみたいと思います。先ずは香港住民は7百万人ですが、半数以上は大躍進・文革時代に中国から逃れてきた人若しくはその二代目であり、今回の中共の国家安全法で里帰りとなり何とも皮肉なことです。返還後の中国人の不動産投資で若い世代は自分の家を持つことは絶望的でここ数年の反中運動はこれも原因していると思います。さて香港はこぎれいに整理された高層ビル群も多いですが、全体としては古い低層雑居ビルが大半で猥雑なイメージで、個人的には好きな街で休日にはゴミゴミした場所を散策してました。帰任後は年に何回か香港訪問しておいしい食事とゴルフを楽しみ、今後もそうしようと考えてましたが、難しくなってきたでしょう。

さて7月1日は23年前の香港特別行政区成立日で、以来50年間香港基本法に基づき一国二制度である程度の自治権が認められました。しかしながら97年の返還前にはイギリス統治下でも立法会議員は直接投票で決められていたものが、現在では直接投票選挙35名、職能別間接選挙35名で選出されてます。職能別では親中派で占められており、民主派議員は直接選挙で選ばれることが多く、最近では複雑なクォータ導入で比例代表制に変更されました。詳細は微妙に違いますが、そのような理解でよいと思います。今回の国家安全法は9月の立法会選挙をにらんだものでしょう。

ここ数年の極めつけは14年に行政長官の選出方法が選挙委員会の推薦がなければ立候補できない、選挙委員会はほぼ中共の影響下になること、に反対して直接選挙を期待していた学生・若者による雨傘運動でした。雨傘では死者はなかったが、昨年の反中送デモでは中国から送り込まれた武装警察でかなりの犠牲者が出たと思われます。立法・法律解釈が実質的に中共に抑えられた結果が今の香港の状態で、この点が台湾と異なるでしょう。ビジネス業界はこぞって親中派で、分かりやすい例では香港系のシャングリラホテルやニューワールドホテルが中国で積極的にホテル建設をしており、親中でなければ建設・営業許可はもらえないからです。

日本企業もこの段に及んでも中国に積極投資してますが、中国で利益を得ても利益送金出来ないことを知っているものの、連結ベースの決算書で単独決算の無視・中国の低賃金労働によるコストメリットで右肩上がりしか描けないのでしょう。中国駐在経験者ならば工場の直接工と事務系の間接社員の給与乖離、また低率な社会保険料・健康保険の皆無等、中国での低賃金体系を誰でも経験することです。武漢ウィルスでかなりの駐在員の中国への移動がままならない日系企業で納期遅れや製品不良が起こっているとの一部新聞報道がありますが、中国事業を拡大すればするほど日本人社員を納期・品質確保の為多く派遣しており、日本側では有為な人材がますます細っていくでしょう。

長々と書いてしまいましたが、中国の邪悪さをあれもこれも思いついてしまうのですが、残念ながら香港はこれから資金と人材の流出が始まるでしょう。また日本人も今こそ日中と聞いて条件反射的に「友好」という思考回路は捨て去ることが必要でしょう。以下写真は中国のどこの町に行ってもスローガンとして掲げられている中共の広告です。漢字の意味が解らなくなります、日本の野党も同様に使っていますが・・・。 (修)

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