教育提言22.「欧米教育を真似る危うさ」

川内時男先生の教育提言22.をお送りします。
川内先生はこの内容の拡散を希望されています(仁)。


22、欧米教育を真似る危うさ
  「今の学校の教育はふがいない!」「子供に甘すぎる」と憤っている国民は多いことで
しょう。その通りです。甘すぎます。
 マスコミや三流教育評論家の影響か、まるで「子供に甘いこと」を「子供に理解がある」
と勘違いしているようです。ではどうして我が国の教育はこれほど子供に甘くなってしまっ
たのでしょう。それは現代教育が長く欧米教育を真似てきたからです。
  
 欧米と我が国とでは教育に対する考え方がまるで違います。欧米では「子供は成長しよう
とする力を体内に秘めているので、恵まれた環境を与えてさえやれば大人が手出しせずとも
自ずと成長する」と考えます。確かに、柿の種は肥沃な土地においてやりさえすれば自分で
芽を出し、自然に成長し、やがて実をならせます。これと同じように考えているのです。

 このことから欧米の教育は「自然主義教育」と呼ばれます。「大人はよけいな手出しを
せずともよい」との考えるのですから、欧米の子供が自由奔放なのも頷けます。
  しかし我が国では違います。「奔放に育てていたのでは子供は正しく育たない。教え導き、
厳しく鍛え、責任感や公徳心を養うべき」と考えます。古来から我が国に根ざす「伝統教育」
と言えましょう。

 しかし、そんな教育文化が根付いている我が国に、自由奔放に育てる欧米教育を取り入れ
たのですから、うまくいくはずがありません。子供を甘やかすようになるのは当然です。
子供は(少なくとも日本人は)は欧米人が考えるような「柿の種」ではないのです。
 欧米人は概して「個」の意識が強く、「自己主張しない人間は価値なし」と考えます。
一方、日本人は「個」よりも、仲間と協調し、周囲と調和し、集団で生きようとします。
事実この国民性によって我が国はここまで発展することができました。
 精密機械のように運行する交通機関、災害時にも整然と行動できる集団、これらは全て
この国民性の故です。これを考えれば我が国に欧米の教育がふさわしくないのは明らかで
しょう。
 外国から文物を持ち込む時には、それが自国の土壌にふさわしいかどうかをよく吟味し、
慎重に持ち込まなくてはなりません。砂漠に稲を植えても育ちません。沼地に桜を植えて
も花は咲きません。何によらず何かを持ち込む場合には、自国の土壌、即ち気候・風土・
歴史・文化・国民性を考え、慎重に見極めること大事なのです。
 現代教育は「個性の尊重」「個の確立」などが叫ばれています。これらも大事なことに
違いありませんが、あまりにも「個」に偏りすぎるのは危険というものです。むしろ我が
国の「お国柄」を考えれば「集団の一員としての教育」が大事なのではありませんか。
「集団主義=軍国主義」という人がいますが、これこそ時代遅れの石頭と言うべきです。
以上