宗教法人法

安倍元総理襲撃事件をきっかけに、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題が浮上し、他の宗教法人も取り沙汰されるようになりました。

キリスト教系宗教団体「エホバの証人」は、むちうち行為被害が多数報告され、輸血拒否問題もあります。

オウム真理教継続団体「アレフ」は観察処分の対象になっており、公安庁に3ヶ月ごとに義務付けられている活動状況報告が不十分だったとして、再発防止処分が出されています。

旧統一教会は、マインドコントロールによる寄付行為、霊感商法、養子縁組斡旋などがあり、元信者らが献金や物品購入などで被害を受けた損害額の返金を求めており、全国統一教会被害対策弁護団が交渉中です。教団に対し活動実態の解明に向けて質問権を5回行使していますが、教団側の回答内容は乏しく、文化庁が裁判所への解散命令請求の可否判断ができる状況に至っていません。今6回目を行使している最中です。

「宗教法人法」は信教の自由を尊重する目的で1951年に制定され、宗教団体に法人格を与えることになりました。所轄官庁は文化庁、主な内容は宗教法人の設立、監督等に関する法です。宗教法人には税優遇措置があり宗教活動の収入に法人税がかかりません。それなのに現行法に暴力団排除規定がなく、暴力団が宗教法人を悪用する脱税事件などが起きています。また犯罪に悪用される恐れのある休眠法人が3000以上あり放置されている事も大問題です。全国約18万の宗教法人を、所轄する文化庁と都道府県の担当部局で対応しており、関連業務は

①法人設立や解散の手続き②法人に毎年提出を義務付ける「事務所備え付け書類」の写しの確認③不活動宗教法人の整理。

宗教専従職員はわずか35人、兼務と合わせても153人しかいないのが現状でありマンパワー不足は明らかです。宗教法人法の改正、職員の増加が必要とされる今、文化庁が休眠宗教法人整理、解散手続きの迅速化を図る方針を固め、不活動宗教法人の認定の判断基準を統一、各都道府県に通知しています。また文化庁は令和5年度の「不活動宗教法人対策推進事業費」として前年度比74倍の予算計上をしています。人件費に充当ができ、マンパワー不足が解消出来るでしょう。

あと問題となっているのは、政党との癒着です。宗教団体と接点をもつメリットは選挙の票であり、宗教団体にとっては便宜を図ってもらう事や組織を守る上での利点があります。憲法における政教分離の原則もあり、これを機に今が政治の膿をだす時だと思います。

宗教は本来道徳基盤を支えるものです。人の幸福を願うものが、人を不幸に導くものであってはなりません。入会への巧みな勧誘、マインドコントロールによる霊感商法、信者2世などの自由な意思の抑圧など、これらの問題は他人事ではないのです。誰もが問題意識を持ち、少しでも健全な社会をとりもどしていきましょう。(知)