沖縄県民投票の本当の目的は辺野古阻止ではなく、琉球独立

先日当会で沖縄問題講演会を開催しました。

講師として来て下さったのは沖縄問題の第1人者仲村覚さんです。

その仲村さんが、寄稿論文を送ってくださいました。

タイトルは「県民投票の本当の目的は辺野古阻止ではなく、琉球独立」です。

2月14日に公示、24日に投開票が行われる予定の沖縄県民投票。

「オール沖縄勢力」のその真の狙いは何かを分かりやすく説明してくださっています。

ちょっと長いですが、ぜひお読みください(仁)。

 

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八重山日報(平成31年元旦号)【寄稿論文】
「県民投票の本当の目的は辺野古阻止ではなく、琉球独立」(前半)
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八重山日報の今年の元旦号に寄稿した論文を転載して紹介いたします。

年明けから鍔迫り合いを繰り返した県民投票ですが、この論文も多くの保守系政治家にご一読いただき、

一定の影響をあたえることができたのではないかと思います。

しかし、県民投票は法的拘束力は無いものの、次の国政選挙や国連を利用した国際世論戦では、大きな威力を発揮してしまいます。

その影響を阻止するためにも、この論文を多くの県民に読んでいただきたいと思います。

是非、拡散のご協力をお願い致します。

一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム
理事長 仲村覚

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八重山日報(平成31年元日号)【寄稿論文】
「県民投票の本当の目的は辺野古阻止ではなく、琉球独立」
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<公式ブログに紙面、及び全文掲載しています。>
http://www.okinawa-seisaku.org/archives/5305

■不自然で強引な県民投票

昨年10月26日、沖縄県議会で、辺野古移設の賛否を問う県民投票条例が可決され、10月31日に交付、その後沖縄県庁に県民投票推進課が設置され、今年2月14日に公示、24日に投開票が行われる予定です。

しかし、市町村議会から、反対の意見書や事務予算の削除された予算案の可決が続いています。それは、「賛成か反対の二者択一では複雑な県民の多様な意見を反映出来ない。」「原点の普天間飛行場の危険性が条例に見えない。」「民意については昨年の知事選挙で結果がでているのに膨大な予算をかけてやる必要がない。」というのが主な理由です。

この拙文が新聞に掲載される頃には、次々と反対の意見書が可決されたり、予算が凍結されたりして、県民投票の意味が疑われるようになっていることでしょう。しかし、私は県民投票が中止にされることは無いと見ています。

何故なら、オール沖縄勢力の本当の目的は違うところにあるからです。

その影は県民投票条例が決まるまでの不自然な強引さにあらわれています。

まず、県議会で「やむを得ない」「どちらとも言えない」を加えた四択の自民党の修正案を完全に無視して強引に二者択一にしたことです。次に、沖縄県が一部の市町村で実施されないとしても意義があるという立場を示しているということです。

本来、複雑な県民の意思を汲み取るためには、県民の立場に立った様々な質問を提示し、すべての自治体で行われることが大前提であるべきです。

特に移設元の宜野湾市民の意見は最も大切にするべきものです。しかし、それを無視したため、当の宜野湾市では反対意見書が可決されたのです。

既に、県民投票の体をなしていないのです。

■自らを日本人だと思い込んでしまった可哀想な琉球人

では、オール沖縄の県民投票を実施する目的はどこにあるのでしょうか?

それは、即理解することは難しいのですが、沖縄では先住民族差別を受けているということを国連に主張したり、国際発信する材料づくりにあるのです。

まず、昨年八月三十一日の琉球新報の一面に掲載された「国連、沖縄保護を勧告 基地集中は人種差別」というタイトルの記事を御覧ください。

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国連人種差別撤廃委員会は三〇日、対日審査の総括所見を発表した
日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告した。
米軍基地に起因する米軍機事故や女性に対する暴力について「沖縄の人々が直面している課題」と懸念を示した。
その上で「女性を含む沖縄の人々の安全を守る対策を取る」「加害者が適切に告発、訴追されることを保証する」ことなどを求めた。
同委員会が勧告で、差別の根拠として米軍基地問題を挙げたのは2010年以来。
(以下省略)【『琉球新報』平成三十年八月三十一日付】
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このニュースは沖縄の基地問題より何百倍も大きな大事件です。ほとんどの沖縄県民は日本人として生きてきたにもかかわらず、国連は日本政府に先住民族として認めるべきだとの勧告を出したからです。

筆者は、この勧告を撤回させるために、8月16日から2日間開催された国連人種差別撤廃委員会の対日審査に合わせてジュネーブに飛び、審査直前の非公式会合で英語にてスピーチを行いました。その日本語訳をご紹介します。

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私は日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚です。日本国沖縄県に生まれ育った者の代表として発言させていただきます。
まず、沖縄県に生まれ育ったすべての人々は、日本人として生まれ、日本語で会話をし、日本語で勉強し、日本語で仕事をしてきました。
ゆめゆめ日本の少数民族などと意識したことはありません。
沖縄は第2次大戦後、米軍の占領支配下におかれましたが、沖縄では激しい祖国日本への復帰運動が起こり、わずか27年後には沖縄は日本に返還されました。
祖国復帰運動の最大の情熱の根源は、沖縄の子供たちに日本人としての教育を施したいということでした。
沖縄は日本の中では複雑な歴史を持つ地域ですが、一度たりとも日本からの独立運動が起きたことはありません。
独立を公約として立候補して当選した政治家も一人もいません。
また、過去一度たりとも、沖縄から先住民族として認めるよう保護してくれという声があがったことはありません。
議会で議論すらされたことはありません。沖縄で独立を標榜(ひょうぼう)する団体がありますが、それは沖縄ではごく少数の団体です。
委員会は、数百人の意見を根拠に、140万人の運命を決する判断をしたようなものです。日本人である沖縄県民に先住民族勧告を出すことは、国際社会に誤解を与え、沖縄県民に対する無用な差別や人権侵害を生み出すことになります。
それは、委員会の存在意義に反します。
早急に撤回すると同時に、同じ過ちを繰り返さないように、なぜ誤認識したのか原因を調査し、再発防止策を講じるようお願い致します。
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上記のスピーチににもかかわらず、冒頭で紹介した新聞記事のように5回目の勧告がだされてしまったのです。

日本国内でも当事者である沖縄でもほとんど知られていませんが、国連では「沖縄県民は先住民族だという認識がほぼ固まっている」というのが実態なのです。

では、国連で自らを日本人として訴えた私を人種差別撤廃委員会の委員たちはどのようにみたのでしょうか?

彼らは私を明治時代に日本に強制併合されて以来の、日本への同化政策の結果、独自の言語やアイデンティティーを失い、自らを日本人だと思い込んでしまった可哀想な琉球人だと認識したのです。

天地がひっくり返るぐらい、沖縄の認識が狂ってしまったのです。こうなってしまったのは、裏でコソコソ隠れて、「沖縄の人々は日本に植民地支配されている先住民族であり、日本政府はその権利を守るべきだ」と訴え続けた勢力がいたからです。

実際、当日もその勢力に属する人物が姿を見せていました。その人物が8月17日付の琉球新報の26面に小さく掲載されていました

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【糸数氏基地問題は差別 国連対日審査で訴え】
国連人種差別撤廃委員会の対日審査が16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で始まった。
審査に先立ち、沖縄から糸数慶子参院議員がスピーチした。
糸数氏は沖縄の人々に対する差別の事例として、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をはじめとする基地問題をあげた。
日本政府に差別的な政策をやめさせ、先住民族としての権利を守らせるよう訴えた。
(以下省略、『琉球新報』2018年8月17日付)
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■全ての活動は「琉球人差別」の火種をつくるため

本来、国連の人種差別撤廃委員会とは、チベットやウィグルのように、政府に対して発言や関与する権利を全く持つこと無く弾圧されている少数民族の駆け込み寺です。
政府に働きかけることができないからこそ、国連に助けてもらう仕組みです。

ところが、沖縄の政治に関与どころか、参議院議員に選挙で当選することもでき、国政に関与できる立場でありながら、更に政府には、先住民族の権利を一度も要求したこともないのに、何故か何度もジュネーブやニューヨークに足を運んで国連の人権関係の委員会に参加し、同様の発言を繰り返し、沖縄の基地問題を国際的な人種差別問題にエスカレートさせてきたのです。

そのため、沖縄県民を先住民族と断定した勧告は、二〇〇八年の自由権規約委員会以来五回にものぼります。

今回の審査で沖縄県民を先住民族だとする報告書を作成したのは、沖縄国際人権法研究会(島袋純、星野英一共同代表)と琉球弧の先住民族会(当間嗣清代表代行)の二団体です。

前者の沖縄国際人権法研究会の英語の名称は、「All Okinawa Council for Human Rights」であり、共同代表の一人の島袋純氏は、翁長知事が国連人権理事会でスピーチを行った時、オール沖縄の国連部長という役職で、その実現を担った人物です。

つまり、沖縄国際人権法研究会は、「イデオロギーではなくアイデンティティー」をスローガンに故翁長雄志を担いで、辺野古移設阻止を戦い続けてきたオール沖縄の国連担当部署なのです。

オール沖縄内部の辺野古埋立承認撤回要求は強く、新しい知事の当選を待つこと無く、副知事の代行により撤回してしまいました。

このように敗訴覚悟で無謀な戦いを選ぶオール沖縄の真意は、沖縄と日本政府の対立構図を構築し、沖縄が政府から差別を受けていると国際発信する火種をつくることにあるのです。

敗訴した際には「承認撤回を求めた琉球人の民族の自決権は日本の法廷でも無視された」と国連に訴え、国連が認めている「先住民族の土地の権利を保護しなければならない」というルールにより米軍基地を撤去の国際世論をつくるとが目的なのです。

オール沖縄の動きは、全てこの先住民族の土地の権利を利用した米軍基地撤去へのシナリオに沿って進められているのです。

そして、2月24日実施予定の県民投票は、県知事選挙に次ぐ「琉球人」VS「日本政府」の対立構図をつくる最大の政治イベントです。

これも、「琉球人差別」の火種をつくり、国連に報告する大きな材料となるのです。

だからこそ、一部の県民の意思を無視してでも、歯抜けの県民投票になろうが、(先住民族である琉球の人々の)辺野古埋立反対の民意を強引に作り上げようと動いているのです。

結局、県民のための県民投票ではなく、逆に沖縄県民を騙して先住民族に貶めるための県民投票なのです。

(後半に続く)