川内時男先生の教育改革提案(16)をお送りします(仁)。
16、不登校を増やしてしまった文科省の施策
前回、不登校に関する専門家の言葉・・・「登校を渋る子供は家で休養させればエネルギーを回復して、自ら進んで学校に行くようになる」を紹介しましたが、その論には全くエビデンス(証拠)がありませんでした。
つまり不登校問題は全く改善されなかったのです。それどころかカウンセラーの数を増やすほど不登校の子供が増えたのです。グラフで見ますと大した増加には見えませんが、子供の人数が減少していることを考えれば、相当な率で増えていることになります。
私が現役時代、ある研究会で「カウンセラーを増やすほど不登校の数が増えているではないか」と質問したところ、専門家曰く「不登校の数が増えたからカウンセラーの数が増えたのだ」と。詭弁にしか聞こえません。
教師達は「ストレスになるから子供に学校に来るように働きかけない方がいい」というカウンセラーのアドバイスを受け、それまでやっていた家庭訪問や学校に来るよう促す指導をしなくなりました。不登校の数が増えるのは当たり前です。そもそも「子供がストレスを感じるから・・・」として必要な指導を手控えたと言うのが間違いです。ストレスになろうとなかろうと、必要な指導はためらうべきではないのです。素人でも理解できるこれらのことを、専門家達は理解できなかったのでしょうか。
さしもの文科省もこの現実を受け「不登校児童・生徒には適宜登校を促すことが大事」と方針転換をしました。
全く文科省や専門家はどうかしています。絵に描いた餅はどれほどきれいに描いても食えないのです。カウンセラーの方には気の毒な言い方ですが、いくら高邁な理論であっても実績が伴わなければ、それはきれい事に過ぎないのです。物事は理屈ではなく結果が全てだということです。
ところで、今社会では70万人の大人が引きこもっています。これらの多くは小・中学校時代の不登校が引き金になっていると聞きます。その小・中学生の不登校の数は14万人(平成29年度)です。
もし不登校問題が解決し、大人の引きこもりがなくなれば、働き盛りの若者70万人が労働市場に出てくることになり、外国人労働者など移入する必要はなくなるのではないでしょうか。ということは不登校問題は教育現場だけの問題ではなく、社会問題とも言えるのです。