川内先生の教育提言「不登校と臨界期」

川内時男先生の活動報告(28)をお送りします。

不登校は深刻な問題です。ここでは不登校にならないようにするにはどうしたら良いかを述べられています(仁)。

 

28、不登校と臨界期(拡散希望)

不登校問題は数十年の昔から社会問題になっていました。世間からは早急な解決を求められていましたが、残念なことに教育界は今に至っても解決の糸口さえも見つけられずにいます。

文科省も様々に施策を講じてきましたが、これと言った結果が出せていません。そればかりか近年文科省は・・・いやマスコミや学者先生も「学校に行かないことも選択肢の一つ」などと言い始めました。もっともらしい言い方をしていますが、私には「問題解決を諦めた」としか聞こえません。

以前にも述べましたが、不登校問題に関して多くの専門家や学者先生は「子供はストレスで疲れているので家で休養させ、元気を回復させれば自分から進んで・・・」などと、絵空事のファンタジーな方法ばかりを推奨します。そして、この方法が何ら効果がなかったことは以前述べたとおりです。

 

考えてみれば当たり前のことです。群れる生き物である子供を家庭で過ごさせるなどして、群から引き離すなど逆効果でしかないのです。近年は動物行動学や脳科学など、教育に深く関係する先端分野の研究が飛躍的に発展しています。

 

しかし教育界がこれを取り入れようとする動きはありません。思うに教育関係者は、子供という生き物を美化するあまり、科学的な目で見ることを忘れているのでしょう。子供の成長を猿の生態と比較・対照するなど「子供に対する冒涜」とさえ思っているのかも知れません。

 

しかし子供は間違いなく「霊長目ヒト科の子」です。大人がどのように考えようと、子供は霊長類の宿命から逃れることは出来ないのです。

 

私は断言します。

子供を科学的な目で観ることなく、これまで通りの指導をしていたのでは、いじめや不登校問題は百年経っても解決しないでしょう。以前にも述べましたが、人間を含め犬や猿のような群で生きる動物は、幼少期に仲間と群れ遊ぶ体験をすることなく臨界期を過ごしてしまうと、仲間と群れる能力が育たず、成長した後も群から孤立するようになります。

 

この例を人間の子供に当てはめれば不登校を防ぐ手立てが見えてくるではありませんか。今社会では「不登校になった子供をどうするか」ばかりに目を奪われていますが、私はむしろ「子供が不登校にならないようにするためにはどうすればよいか」の方が大事だと思うのです。

私は動物学者ではありませんので確信を持っては言えませんが、要するに子供は幼少期にしっかり仲間と群れ遊ばせることが大事で、それが不登校の予防策になると言うことです。また群れ遊ぶ経験をすることで、子供は「いじった、いじられた」程度のいじめに対処する方法を身につけるのではないでしょうか。現代は核家族化と少子化の時代です。

子供が群れ遊ぶ環境は確実に失われつつあります。加えて一人で遊べるゲームがふんだんにあります。大人達はこのことをしっかり認識しておく必要があると思います。