7月10日に星稜会館で第3回目となるシンポジウムに参加した時の講演概略と感想を述べます。参加者は約200名超で講演者は米国人2名(マーク・ラムザイヤー氏、ジェーソン・モーガン氏)、韓国人5名(李栄薫氏、柳錫春氏、金柄憲氏、李宇行氏、朱玉順女史)、日本人4名(西岡力氏、福井義高氏、松木國俊氏、藤岡信勝氏)、パートタイム参加でいつもの衛藤晟一議員、杉田水脈議員、有村治子議員。講演会の共通基調は慰安婦問題による①北朝鮮が絡んだ日韓関係の破壊と日本政府の不適切対応、②日本国内の反日マスコミの煽動とマスコミと国連と結託した活動家の虚偽発信と米国・国際社会に拡散する誹謗中傷、等が複雑に絡み合った問題としている。
日本人論者の講演はいつも聞いている内容なので割愛するとして、マーク・ラムザイヤー氏と韓国人論者の講演内容につき概略と感想を記載する。先ずラムザイヤー教授は学者のあるべき立場として真実しか言わない、書かないことが最も重要であり、攻撃されても妥協しないことが学問の基礎としている。米国では優秀な学生は自然科学に進むのが一般的であり共和党支持も多いが、一方人文系学問を専攻する学生は概して優秀ではなく圧倒的に民主党支持であり、これが優秀と言われるアイビーリーグの傾向である。因みに米国では経済学は自然科学に分類される。日本ではその昔マルクス経済学を売りにする大学(東大・京大等)やその化石の様な学者が未だに跋扈している。また韓国からの留学生・移民とその2世・3世は偏狭な愛国心がある一方、日本専門家と称する学者が性奴隷説や強制連行説が彼らのイデオロギーを満足させ、このような学者は一次資料にも当たることもなく、根拠のない事を流布し学問の自由を正面から攻撃してきた。私見であるが、連日マスコミに出演している米国人はこの類でありハーバード比率が高いのに納得。
韓国人論者の共通した主張は「慰安婦は売春婦であり日本軍による強制連行はなかった」。1960年代迄慰安婦営業が叶わぬ年代になった売春婦が収入を絶たれた事に損害賠償を請求する事案が散見されたが、何れも敗訴。局面が変わったのは80年代に入ってから吉田清治の虚偽と朝日新聞の捏造記事と90年の挺対協の組織化、慰安婦の存在に慣れていない世代と韓国の女性史・売春業に不知な研究者・活動家により日本軍慰安婦の責任を先鋭化させてきた。尹美香に率いられた挺対協への元慰安婦の参加がより問題を日本政府の責任へとより先導化させたとも言える。本来なら朝鮮戦争以降ひっそりと人知れず社会の片隅で暮らして行くのが普通と思えるし、日本人慰安婦はほとんどこれに該当する。94年のアジア女性基金(多数派の61人受領)、15年日本政府の報償(46人中34人受領)にも拘らず、補償拒否した慰安婦を「ナムルの家」に居住させ、過去の発言(女衒により慰安婦になった)を翻して、「日本軍による強制連行された」と主張するようになった。挺対協が反日活動にアクティブな韓国社会の中では、強制連行性奴隷に異議を呈することは長らく出来なかったし、また司法面から社会的に抹殺される状況が続いた。ここ数年での尹美香の従北性向、挺対協・正義連内での自利行為等により風向きは変わりつつあるもの、朝鮮女性を日本軍慰安婦としての生活を強要したしたと言う主張は飛び交っており、今後ともその主張を裏付ける物証がどこにあるのかを問い続ける旨。
中国・朝鮮との言い掛かり的な問題発生は90年前後辺りと記憶する。これは現役の戦争世代が鬼籍に入り始める時期とシンクロしている、つまり実態を知っている人からすれば一笑にする問題を歪んだ戦後教育を受けた世代が社会の中心的地位を占める時期で変わりつつあったことに起因すると思われる。日本軍の慰安婦強制連行を匂わせる河野洋平談話、事実確認もせずに謝罪を繰り返した宮澤喜一、これらを根拠に謝罪と賠償に昇華させて行った反日マスコミと共産主義学者・弁護士らによって慰安婦問題を日韓の歴史認識問題に本格化させてきた。彼らの活動は国連人道委員会、NYタイムズ・ワシントンポスト等の東京支局を舞台に日本の朝鮮統治は悪業に満ち満ちていたとの方向付けとして慰安婦問題を徹底的に利用したと言えるし、背景的には中国・北朝鮮が資金的に関与していた事が状況的に判明している。地上波に登場する論者はほとんどこの範疇に入ると見られるし、マスコミは官僚から提供されるソースを垂れ流していると見て間違いないと思われる。
つくづく思う事は日本の政治家・官僚はさしたる国家観・歴史観も持たずに中国・半島国家に迎合・忖度して来た結果であり、現在でもこのような政治・行政意識は改まっていないと言える。ひと昔前なら、官僚・学者・弁護士等は偏差値の高さのみでそれなりに尊敬の対象になっていたと思われるが、SNS等で概して左翼思考を持って自利行為にしか興味がない事が明らかになっており、特にアカデミズム・マスコミの世界では共産主義が主流であり、社会に悪影響を及ぼしている。このような反日活動が生み出される構図が出来上がっていることを日本国民はもっと認識する必要がある。これらを打開する方策として国民の側で求められことは、①事実として認められる歴史感を持つこと、②家族・私有財産・国家を否定する共産主義を排除すること、③国益を優先する代議士を国会に送り込むこと、が政治関与の第一歩であろうと思い知らされた。(修)