太陽光発電の危険

このところ今後太陽光発電の大幅導入される計画の様であるが、現役時代少し得た知識で如何におかしな事を推進しようとしているのかを紹介してみたい。原発ゼロとか再エネとか言っている人達に対する若干の反論の一助になれば幸いです。

2019年度の日本での総発電量は10,277億kWhで天文学的数値なので、燃料別の構成比率で理解すると原子力6.2%、一般火力(石炭・LNG・石油)75.8%、水力7.7%、再エネ10.3%、この状態でCO₂削減のため、再エネを増強するのは現実的ではないし、形を変えての原子力で一般火力をカバーするのが現実的であろう。ところで毎月の電気代で「再エネ発電賦課金」が約1割程度あるが、Feed In Tariffの結果として、屋根に太陽光発電を持たない顧客も一律請求されている、理不尽と言える。

上記はエネ庁の2030年での燃料別発電コストと稼働率であるが、原子力・一般火力の70%稼働率(設備容量に対する年間運転時間)は低い、一般的には90%以上で運転している。陸上風力で20~23%、メガソーラー(1000kW以上)14%の意味は10MW(10000kW)のメガソーラーは年間10000kWx8760時間x14%=12,264,000kWhしか仕事していない、一般火力の1/6である。また太陽光の設置面積は15m²/kWであり、10000kWでは150,000m²(単純計算で400mx400m)の場所が必要であり、一方10000kWの小型火力(ガスタービン)では100m²もあれば十分。さて太陽光発電は直流電源であるため、交流変換並びに不安定電源を調整する為のパワーコンディショナーが必要であり、発生電力を集積する為の変電回路も必要となる。太陽光・風力は不安定電源で、産業用需要には電圧変動が大きくて使える電気でない。つまり再エネで計算で得られる電力相当分を他の火力でバックアップしないと全く安定電気の給電にはならない。よってエネ庁の試算は極めて現実性が薄いと言わざるを得ない。

さて太陽光モジュール・セルはシリコンで作られるが、原料は自然界に存在する二酸化ケイ素SiO₂を大量の電気を使って、Si(シリコン)とCO₂に還元化して製造されるが、何故中国が世界の73%を生産しているかと言えば、石炭火力の安価な電力と奴隷労働と言うべき低賃金労働、それと製造工程での無頓着な環境破壊等による。代表的な二酸化ケイ素の結晶は石英であるが、別に中国の特産品でもなく広く世界に分布するものであり、何故中国にシリコンが偏在するのかは①安価な電力、②低賃金労働、③環境破壊によるものであり、この状態で太陽光を推進するのは中国を利するだけであり、日本の産業構造・製造業を滅茶苦茶にすることである。(修)