こんな知事がいていいのか(3) 

こんな知事がいていいのか(3)    三澤廣    R2-10-19

 

それにしても詭弁を弄する人だ。

文部科学省の実施要領では、「学校の名前は出さない」ということになっていた。それを川勝氏は「学校名は出さない。校長名だけだ」と強弁した。校長名が出れば、翌日にはインタネットがたちまちに学校名を特定するに決まっている。それを「俺が学校名を出したわけじゃない」と開き直ろうというのだ。「公営賭博を廃止して、公権力が手を汚さなければ、結果的に暴力団のギャンブル関与がふえてもかまわない」という美濃部式言い逃れである。

 

それにしても、このときは民主党政権の時代だった。味方であるはずの政権に逆らったのだから、その意味でも根性のある人なのかなとちょっとばかり評価しそうになった。

 

下位100校の校長名を公表しようとしたのは、懲罰のつもりなのだろう。現に記者会見では「責任をはっきりさせる」と発言している。

しかし、その学校の成績が悪かったとしても、それは教師の責任ではない。地域差というものがあり、だいたいにおいて、都市の中心部の学校は成績がよく、過疎地では悪くなる。それは仕方のないことだ。

 

こういう発言をするとき、私と同じような考えを持つ人たち、つまり偽善を喝破しようとする人たちは、頭に、「誤解を恐れずに言うが」と枕詞をつけることが多い。差別発言をしたと思われたらいけないから、あらかじめ弁明するのだ。我が同志たちに申し上げるが、この言い方、リベラルのおためごかしと同じように聞き苦しいからやめて欲しい。

誤解じゃないじゃないか。少なくとも私は、言っている通りを意図しているのだ。住民の知的レベルが子供の成績に反映されることは事実なのだ。言ってはいけないことになっているだけだ。何が誤解なのか。

 

そこで、「誤解を恐れずに」ではなく、「ご明察を恐れずに」言うが、たとえば、筑波学園都市が出来て以来、現地の生徒の学力は甚だしく向上した。今では土浦第一高校の東大進学率は茨城県内で桁違いのナンバーワンだ。別段同高校や地域の小学校・中学校の先生たちの教え方がよくなったからではない。生徒の資質の問題なのだ。

静岡県内で一番成績の悪かった小学校・中学校の先生だって、校長だって、県庁所在地の高級住宅街の、日教組が強くない学校へ行けば、素晴らしい実績が挙げられるに決まっている。それを、教師の責任で成績が悪くなったとは、川勝氏のリベラル的建前主義には恐れ入る。

 

それにしても、学力なんかどうでもいいという日教組思想に染まったリベラルの中で、川勝氏は学力が大事だ、学問を積んでいないといけないと言うのである。それはいいとして、菅義偉氏に学問がないという事実はないと私は思うのだが、どんな根拠でそのような誹謗をするのだろうか。

また、川勝氏は「学問のない人が総理になってはいけない」と言っているのだろうか。それとも、「学問のない人が学術会議の問題に口をはさむな」と言っているのだろうか。わざわざこんなことを言い出したのだから、そのどちらかであることは間違いない。

いずれにしても、この問題に関して、菅義偉氏の学歴や学力を問題にする必要は全くなかった。俺は学者なんだぞ、学力があるんだぞ、と言いたかっただけではないのか。

私も、ある種の政治家を見て、「こんな知性のない人が総理になっては困る」と思うことがあるが、安倍晋三氏や菅義偉氏の場合は、一流大学出身ではなくても、そうは思わなかった。話し方を聞いていても、むしろ、川勝氏より上ではあるまいか。

オックスフォードがなんぼのものじゃ。

 

そして、川勝氏の一番の問題は、リニア中央新幹線建設の妨害工作である。

静岡県の北東には山梨県、北西には長野県がある。山梨県と長野県の県境に静岡県の北部から北へ向かって突起が入り込んでいる。盲腸が上下転倒して、下から上へ向かって、虫垂が出ているような形だ。山梨県南部から長野県へ行くには、その静岡県の突起部分を横断することになる。ここをリニア新幹線が通ることになった。大部分が山岳地帯で、そのうち8.9キロをトンネルで通過する。

 

これに対して、川勝知事が異を立てた。反対の口実は、大井川の源流部にトンネルを掘るために、川の水量が減るということだった。

JR東海は、覆工コンクリートを敷設することによって、水量の減少を防げるという試算をして、川勝知事もそれを理解した。しかし、その後も、覆工コンクリートのない場合の水量の減少量を取り上げて、「こんなに水量が減る」と言っているのだから、如何にもリベラルらしい慰安婦報道的歪曲である。

川勝知事の頑迷な態度によって、リニア新幹線は着工することができず、二〇二七年に予定された完成は大幅に遅れそうな形勢になってきた。

 

なにゆえに妨害のための妨害としか思えないことをするのかと訝られたが、だんだんとその背景が明らかになってきた。

静岡県は石川嘉延前知事の時代から中国と親密な友好関係にあった。この石川という人は、川勝氏をブレーンとして引き立ててくれた人であり、かつ後任の知事として推薦してくれた人である。そして、静岡県は、浙江省と「友好提携」を結んでいる。結んだのは石川知事ではなかったが、石川氏の媚中ぶりもすごい。