川内時男の「スクールカウンセラーとエビデンス」

川内時男先生の教育改革提案(15)をお送りします(仁)。

 

15、スクールカウンセラーとエビデンス

 

前回と前々回は、エビデンス(証拠)の話から、悪名高い「ゆとり教育」についてお話しましたが、実はこれにも増してエビデンスがなく、空論で固められた施策があります。「スクールカウンセラー」です。

 

スクールカウンセラーとは、不登校やいじめなど、子供が抱える様々な問題について、直接子供を指導したり、教師にアドバイスを与えるなどの役割を担う臨床心理士のことです。

 

これは文科省が「いじめ問題」や「不登校問題」の解決を主目的として平成7年から始めた事業ですが、その後事業の規模は拡大・膨張し、平成30年度には「いじめ対策・不登校等総合推進事業(平成30年度予算64億円)として、全国の小・中学校にスクールカウンセラーが配置されました。しかし、いじめ・不登校問題は改善されるどころか、むしろ深刻さを増しています。

 

私が現役時代、不登校問題に関しては専門家が唱える「不登校の子供は精神的に疲れているので、家庭で休養させ、エネルギーを回復させれば自ら進んで登校するようになる」という説が主流でした。

 

これまでは登校を渋る子供に対しては、先生がなだめたり、すかしたり、時には厳しく叱って登校するように指導していたですが、カウンセラーをはじめとする専門家達は「学校に来るように指導すれば、それによって子供がストレスを感じ、エネルギーの回復が遅れるので、しない方が良い」と言うのです。

 

これを読んでいる皆さんはどう思われますか?学校に行きたくない、とグズる子供を数週間休ませたら、子供が元気を回復し、自ら進んで学校に行くようになる、など信じられますか?

 

病気や怪我でやむを得ず学校を休む場合などは別ですが、子供は学校を休めば休むほど学校の敷居が高くなり、怠け癖がつき、ますます登校しなくなるものです。こんなことは素人でも分かることです。

 

そして学校がスクールカウンセラーのアドバイスに従っていたら、案の定不登校が増えました。文科省の施策はまたもや空振りです。(次回に続きます)