川内先生の教育提言25.「世界一窮屈な日本の学校」

川内先生の教育提言25.「世界一窮屈な日本の学校」をお送りします(仁)。

川内時男先生の活動報告 (元徳島県公立中学校校長)

25、世界一窮屈な日本の学校

 日本には「学校は子供の心身を鍛え、学力を身につけるところ」との伝統的な考えがあり
ます。学校というところは、子供がこれから生きていく力を養うための、いわば「道場」と
考えられているからです。メキシコ人や欧米人が考えるように楽しいことばかりであるはず
がありません。日本の学校は子供に甘くなったとは言っても、まだまだ「頑張れ文化」が
生きています。歯を食いしばって、苦しみながら努力している子供を、大人達は「頑張れ、
頑張れ」と応援するのです。蛇足ながら、この「頑張れ」と言う言葉、チリやメキシコで
はついぞ聞いたことがありませんでした。

ここで小話をひとつ(・・とは言っても実話です)、日本の運動会で子供のパン食い競争
を見たある外国人曰く「子供がパンを食べようと悪戦苦闘しているのに、わざと食べにくく
して楽しんでいる日本人って、趣味が悪い」だと。文化の違いを感じさせられます。

 欧米と違い、日本の学校は「道場」ですから、窮屈さがあるのは当然です。 私は日本の学校の窮屈さは世界一だと思っています。 固い椅子に何時間も座らされ、先生から、よそ見をするな、無駄話をするな、机にもたれるな、ひじをつくな、 背筋を伸ばせ、宿題を忘れるな、時間を守れなど、これ以外にも挨拶や言葉遣い、整列、頭髪の決まり、 制服の決まり・・・まるで修行そのものです。外国人が聞いたら「虐待ではないか」と思うことでしょう。

 しかし、これがあるからこそ日本人の高い集団性が育つのです。 集団性などと言えば、欧米教育を信奉する学者先生達から「戦前の軍隊のような教育」と、目をむいて叱られそうですが、 これは大事なのです。郵便物が間違いなく届く日本、災害時においても整然と行動できる日本人、 これらは日本人の集団性があるからこそなのです。

 アメリカンスクールで学んで帰国した「帰国子女」の中には、日本の学校の窮屈さに絶えられない子供が多くいます。 このことで日本の学校を批判する学者先生がいますが、見当違いです。 帰国子女達が伸び伸び生活できる学校があるとすれば、それはすでに日本の学校ではなく、 日本にある欧米の学校でしかありません。我が国の学校は日本人を育てるための「窮屈な学校」なのです。 それに馴染めないなら、普通の公立学校ではなく、帰国子女を受け入れている学校に通わせるほかありません。

 マスコミは厳しい校則をバッシングしますが、我が国の学校文化を深く理解する必要があり
ます。