川内先生の教育提言(31)「舶来教育の輸入より国産の教育を」

川内先生の教育提言(31)をお送りします。

過去、問題が指摘されるたびに外国の教育が導入されてきた。果たしてそれが日本の教育として相応しいのか、検証されるべきだが実はなされないまま来ている。それでいいのだろうかというご提言。(仁)


川内時男先生の活動報告
(元徳島県公立中学校校長)

31、舶来教育の輸入より国産の教育を
 以前「我が国のお国柄に会わないから欧米教育を真似るのをやめよ」と書いたことがあります。
戦後、我が国の教育界は社会から問題を指摘されるたびに改革がなされてきました。
 これ自体は何も悪いことではありません。社会が変われば教育も変わらなくてはならないからです。
問題なのは、その改革が欧米教育を下敷きにした輸入教育になっていることです。
以前にも述べましたが、欧米と我が国では国民性や文化、つまり「お国柄」が全く違います。
温厚で和を貴ぶ日本国民に、権利意識と自己主張の塊のような欧米教育を持ち込めば、日本人の美点が
損なわれるのです。イワナやヤマメが棲む清流に獰猛なブラックバスを放流すれば生態系が破壊される
のと同じです。
  ところで、欧米の物真似をする教育改革にどれほどの予算がつぎ込まれてきたのでしょう。
私は恐ろしくて調べる気にもなりませんが、我々の想像を遙かに超える莫大な額をつぎ込んだことは間
違いないでしょう。教育が少しでも改善されたのならそれでも良いのですが、実は改革を重ねるほど劣
化しているのです。いじめによる子供の自殺などはその典型と言えましょう。
  企業で莫大な金をかけて新しい製品を開発したとしたとき、その製品がそれ以前の製品より品質が悪
かったとすれば、その企業はたちまち倒産するでしょう。民間企業のこの非情な論理に従えば、教育界
は過去何度倒産していたことでしょう。「親方日の丸」だから許されるのでしょうか。
 以前エビデンス(証拠)の話をしましたが、教育界は「莫大な金をかけて開発した教育」がどれほどの
成果を上げ、社会からどう評価されているのかをほとんど検証することがありません。即ち企業で言う品
質検査とマーケティング調査を全くやっていないのです。これでは同じ過ちが繰り返されるのは当然です。
 近年は欧米車に乗る人はほとんどいません。当たり前です。高価な上に故障が多く、おまけに燃費が悪
いとなれば当然の成り行きです。

 教育界はこれまで、あがめ奉って欧米教育を持ち込みましたが、今やその輸入教育が欠陥だらけだと言
うことが露見しています。我が国ではそれでも欧米教育を崇拝してやみません。教育界はまだこのことに
気づかないのでしょうか。また、文科省はこの「欠陥製品」である「舶来教育」をいつまで使い続けるつ
もりでしょうか。
 日本の文化・文明の質の高さが認識されつつある現代、「舶来もの」だからとして崇拝される時代はとっく
に過ぎています。
 教育は文化の中核であり国の礎です。国の未来を担う子供を育てる教育が外国製であってよいはずがない
のです。これは我が国だけではありません。世界中どの国においても教育は「その国で育まれてきた伝統的
教育」であるべきなのです。
当然我が国の教育はメイド・イン・ジャパンの「国産教育」でなくてはなりません。