講演「憲法改正は必要なのか?」①

去る2月26日(日)パレット柏において伊藤哲夫先生(日本政策研究センター代表)の講演「憲法改正は必要なのか?」が行なわれました。

伊藤先生はまず日本が抱える3問題に触れ、昨年12月に閣議決定された安保3文書がいかに画期的であるかの説明をされました。そこから導き出される憲法改正の必要性、改正のあり方についてお話し下さいました。そこで講演の内容を、「日本が抱える3問題」「画期的な安保3文書」「憲法改正の必要性と改正のあり方」の3回に分けてお伝えします。

「日本が抱える3問題」

現在日本が抱えている問題とは、①安全保障(経済安全保障を含む)の問題、②緊急事態対策の問題(感染症、自然災害への対策)、③少子化問題の大きく3つ挙げられるでしょう。

①安全保障について。ロシアのウクライナ侵略、中国による圧力を目の当たりにし、我が国もやっと本格的な防衛力の強化に踏み出しました。それは昨年12月に閣議決定された安保3文書に表れています。3文書で印象的なのは経済安全保障を重要視していることです。国家と経済は一体化しています。経済力は国力であり、経済を支える企業は国家の支援を必要としています。今後ますます重要課題といえるでしょう。

②緊急事態対策について。感染症や自然災害に対して、国は適切な対応をとれるのか。東日本大震災に匹敵する大地震が今後30年間に起こる可能性は70%と言われています。またこの先コロナ以上の感染症が発生した場合を考えているのでしょうか。

③少子化問題。これは深刻度の高い問題です。昨年の出生数は77万くらいで、ついに80万を切ってしまいました。この6年弱で赤ちゃんの数が20万減っています。この先さらに6年で20万減れば女性の数も約10万減るわけで、少子化は加速するばかりです。年金問題(社会保障の問題)も顕著になり、これは明らかに国家崩壊です。

いずれも緊迫感をもって取り組まなければならない問題ですが真剣な議論が起こっていません。日本人の国家意識の希薄さが原因でしょう。

よく「戦後○○年」という言い方をします。この“戦後の発想”は“戦争は終わった、もう平和の時代だ、日本が戦争を起こさなければ平和である、外国は平和愛好国だ”という根拠のない思い込みです。こうした発想の象徴が「日本国憲法」です。

しかし現実はロシアがウクライナに侵攻し、中国が台湾に圧迫し続けています。もはや国連は平和機構として機能しないことが明らかになりました。今や「戦前」、「戦争前夜」に入っているのだ、という発想の転換が迫られています。