『はだしのゲン』その問題を考える(3)

【日本軍批判】

日本軍への批判も甚だしい。戦後もいわゆる「軍国主義」風を吹かせた者を登場させて、それをゲンらが批判する形もとっているが、最終巻(第7巻)ではゲンが中学校の卒業式の場で、「君が代」斉唱を拒否し、天皇批判、日本軍批判を言い立てている(以下ゲンの言葉)。

「天皇陛下のためだと言う名目で 日本軍は中国 朝鮮 アジアの各国で約三千万人以上の人を残酷に殺してきとるんじゃ」(第7巻151頁)

「首をおもしろ半分に切り落としたり」「銃剣術の的にしたり」「妊婦の腹を切りさいて中の赤ん坊をひっぱり出したり」「女性の性器の中に一升ビンがどれだけ入るか たたきこんで骨盤をくだいて殺したり」(第7巻152頁)

「わしゃ日本が三光作戦という殺しつくし奪いつくし焼きつくすで ありとあらゆる残酷なことを同じアジア人にやっていた事実を知ったときはヘドが出たわい」(第7巻152頁)

日本の戦争の理由や敵がそのときどうしていたのか追究することなく、根拠も示さず、ただただ日本軍は残虐であったと読者に印象付けようとするものである。日本兵が「首をおもしろ半分に切り落としたり」「銃剣術の的にしたり」といった史料もなく、「妊婦の腹を切りさく」「女性の性器に一升ビンを入れる」といった残虐行為を日本兵がしたという史料もなく、むしろ「通州事件」で中国兵が日本人に対して行っていたことが分かっている。