「領土・主権展示館」見学記~竹島~

「領土・主権展示館」は、展示を通して「島々について、歴史を振り返りながら、日本が領有する根拠、他国・地域の主張や行動、それに対する日本の対応や考え方を説明」しています。

だいぶ日をおいてしまいましたが、今回は「竹島」について説明します。見学の際、いただいた資料の中で『竹島~日本の領土であることを学ぶ~』(島根県/島根県教育委員会/竹島・北方領土返還要求運動島根県民会議の発行)より引用、または参考にしております。

①日本が領有する根拠

「江戸時代初め、日本人が幕府の許可を得て鬱陵島(うつりょうとう)で林業や漁猟を行い、その行き帰りに現在の竹島で漁猟を行っていました。1661(寛文元)年以降は、現在の竹島についても幕府の許可を得て漁猟が行なわれました。明治30年代になると、日本人によるアシカ猟やアワビ漁、ワカメ漁などが現在の竹島で本格的に行われるようになりました。日本各地から竹島に漁猟に来るようになり、アシカの絶滅を心配した隠岐の中井養三郎は、竹島でのアシカ猟を許可制にするため、竹島を日本の領土とすることを政府に願い出ました。政府は、竹島が他の国に占領されていないこと、日本人だけがアシカ猟を行っていることを確認し、1905(明治38)年1月、竹島の領土編入を閣議決定しました。これを受けて、島根県は同年2月22日、竹島が島根県隠岐の管轄になったことを正式に告示しました。以後、竹島での漁猟は県の許可制となり、30年数年続けられました。」(括弧内前記の資料から引用)

ここで「領土」について確認しておきます。「領土」とは「領有する土地。一国の主権が及ぶ範囲の土地」です。

「領有」とは何か。「領有とは領土などを自国、自分のものであるとすること。特にこの領有という言葉は、自分のものであるという主張を意味し、領土編入の際、早い者勝ちというのが大半である。しかし、一番早く領有したとしても領土問題に発展したり、あるいは紛争の大きな原因と指摘されている。条約などの取り決めによって領土が確定されていないときなどの場合を言う」とあります。

日本は前述したように江戸時代から竹島で漁猟をしていた事実があり、明治に入ってから政府が他国に占領されていないことを確認した上で日本の領土と閣議決定したという歴史を持っています。それが国際的にも確定したのは終戦後に調印(1951年9月8日調印、1952年4月28日発効)された「サンフランシスコ平和条約」です。

サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には「日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」とあります。このなかに竹島は含まれていません。

②他国・地域の主張や行動

しかし、なぜ韓国が占拠しているのでしょうか。

韓国は、サンフランシスコ平和条約の効力が発生する3カ月前の1952年1月18日、李承晩大統領が一方的に「李承晩ライン」設定を宣言(海洋主権宣言)して竹島をライン内に取り込みました。これが竹島問題の始まりです。

韓国はサンフランシスコ平和条約の前に出されたGHQの2つの指令を根拠に竹島の領有を主張して「李承晩ライン」の宣言を行いました。

第2次世界大戦終了後にGHQは指令を発し、一時的に竹島を日本の行政権が及ばない範囲にしました。さらに指令を発し「マッカーサーライン」が引かれ、竹島周辺12海里に日本漁船は近づけなくなりました。しかし、これらの指令は日本の領土を決めたものではなく、竹島を韓国の領土としたものでもありません。

そしてGHQは1952年4月28日の「サンフランシスコ平和条約」発行で日本が主権を回復するよりも早く「マッカーサーライン」を廃止し、「サンフランシスコ平和条約」で竹島は日本の領土であることが最終的に確定されました。

③それ(韓国の主張や占拠)に対する日本の対応や考え方

現在は、韓国の不法占拠を許しているような状況といえるでしょう。

韓国は警備隊員などを置いて占拠を続け、一方的に灯台、宿舎、埠頭などを建設し、定期船を運航して観光客を上陸させるなど不法占拠を進めています。また竹島問題が未解決のため、日韓どちらのものとも決めない「暫定水域」を創って漁業を行なっているため日本は好漁場で漁ができていません。また海洋資源の権利も行使できない(海洋資源の調査さえ韓国の妨害でできない)状態にあります。

日本は、内閣官房・外務省・文部科学省と国内向けには竹島が日本の領土であると広報したり教育したりしていますが、肝心の韓国に対しては、手をこまねいている(傍観する)ようにみえます。

日本政府は、竹島問題を国際司法裁判所に提訴することを韓国に提案(1954年、1962年、2012年の3回)しましたが、韓国は拒否(両国が提訴に合意しなければ提訴できない)して現在に至っています。

この問題解決に有効な手立てはないものでしょうか。日本政府の決断が問われているように思います。