「忖度」・・・ジャニーズだけではない 【投稿】

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「忖度」・・・ジャニーズだけではない

山之邊 雙

 

ジャニーズの性虐待問題で辞任前の藤島ジュリー景子社長が、「知らなかったでは決して済まされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と語ったのには、全国民が唖然としたでしょう。私みたいな素人でさえ何十年も前から知っていたのに、社長が知らなかったとは何という言い草でしょう。

もっとも、マスコミは笑うわけには行きません。特にテレビなんぞは当事者の次によく知っていたのに、知らぬ振りをしていたのです。そのテレビが、急に居丈高に正義を振りかざしているのですから、ジュリー景子氏と変わらない笑い種です。

テレビはジャニーズ事務所を怒らせるとタレントを出してもらえなくなるのを恐れて忖度しているのです。

みんなマスコミを非難はしていますが、一番の問題点を見落としています。それは忖度によって報道すべきことをしなかったが、この問題に限らないということです。

何よりも大きな忖度の相手は中国および北朝鮮の政府です。チベット、ウイグル、内モンゴルでどんな弾圧が行われているか、今や世界最大の人権問題になっているのに、ほとんど報道されません。

マスコミだけでなく、リベラル全体が中国を批判しないように口を閉じているのです。さる東大教授は、中国側が発表する人口統計をもとに、「ウイグルでジェノサイドが行われている証拠はない」と言いました。

かの名高い青木理氏なんぞは、「ジャニーズの問題は、政治に対しても通じるメディア全体の自主規制の問題だ」と言っています。青木氏こそ、中国に忖度して自主規制をして来た一番の張本人ではありませんか。青木氏の有名な発言は、令和三年(二〇二一)の「中国の人権問題は深刻だが足元を見ると日本もジェンダーなどの問題がある。そのへんをガッチリ固めてから批判すべき」です。

また青木氏といえば、かつて横田めぐみさんの弟から名指しに近い形で拉致問題解決を妨害したと指摘されました。公開の記者会見ではっきりと語ったのに、マスコミがこれを報道しなかったというのは驚くべきことでした。

青木氏の言は、リベラル得意の「ウイグル話法批判」の裏返しです。リベラルは保守派から「ウイグルでの人権弾圧をなぜ批判しないで日本の問題ばかり言うのか」と問われると、「世界にはいろんな問題があるのだから、一々取り上げるわけにゆかない。まずは自分の国のことから論じるのが当たり前だ」と言い返します。日本の人権問題と中国の人権問題は桁が違います。中国では少数民族が虐殺されています。逮捕されれば拷問されて廃人になったり、永久に行方不明になったりしています。

それに対して、日本の人権問題といえば、「女性は話が長い」という談話が女性差別だというレベルのものです。

 

今でこそ、性虐待・性搾取に厳しい目を向けるのはリベラルですが、そもそも「性の解放」の名の下に、性の商品化を図ったのはあの連中ではありませんか。

昔はまだリベラルという言葉はありませんでした。批判する人々は「左翼」と呼び、自分たちでは「進歩派」「革新陣営」などと呼んでいました。その連中が、終戦から世紀の変わり目あたりまでは、日本は性の解放が遅れていると言い募っていたのです。

昭和から平成に移る頃には、日本はすでに性解放の最先進国になっていたのです。それを「日本は遅れている。もっともっと解放しろ」と煽ったために、こんな国になってしまったのではありませんか。

 

戦後の日本人は、世論形成の主役の座をマスコミに委ねてしまいました。そのきっかけは、GHQ(占領軍)が言論の自由を普及させるために、新聞の戦争責任を問わなかったことから始まったと言えましょう。

こんな事態を何とか改善してもらいたいものです。

ジャニーズだけの問題ではないのです。

マスコミが忖度するから世の中の矛盾を解決することができないのです。

それにしても、「忖度」という言葉は数年前にリベラルが安倍内閣を叩くために使い出した言葉です。役人が政府の意を忖度して、法を枉げるという意味で使われたのが最初だったでしょう。

それが今では、リベラルが内外の反日勢力に加担して、国益を損なう行為に走ることを指すようになりました。

 

最後に追加です。

木原前官房副長官夫人の件、マスコミが取り上げないのは、自民党政権に忖度しているからだという人がいます。あれほど安倍叩きをしていたマスコミが、どうして自民党政権に忖度することがあり得るのでしょう。ちょっとは論理的にものを考えて下さい。

この件をマスコミがスルーするのは、木原氏が媚中だからです。そんなこと分かり切っているのに、言わないのです。

もう一つついでに、平成二十六年(二〇一四)に橋本聖子氏が高橋大輔氏に無理矢理キスした事件が曖昧になってしまったのも、橋本氏が媚中派だったから。

しかも、高橋氏はその後の競技会で不当な優遇採点を受けたという話まであります。

政治家がどんどん媚中になって行くのは、マスコミに褒めてもらえるからなのです。

日本の言論の自由度が低いという話がありますが、言論の自由を破壊しているのはマスコミなのです。

マスコミが日本の民主主義を危機に追い込んでいるのではないでしょうか。